コラム

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「巳」vol.3 幸運と健康と富を運ぶ蛇

2012.12.13  干支コラム 

「鬼が棲むか、蛇が棲むか」とまで恐れられる蛇。しかし、ネズミなどの害獣を獲物とし、長い冬眠の間、何も食べずに生き続け、脱皮を繰り返して成長する蛇は、豊穣と永遠の生命力の象徴として世界各地で信仰される存在でもありました。
 わが国には家に棲みついた蛇を守護霊として敬う風習がありましたが、幸福を呼ぶ家つき蛇の民間信仰は、ドイツやスイスでも見られるといいます。
 西洋ではまた、蛇は医学の象徴です。ギリシャ神話に登場する名医・アスクレピオスが手に持つ杖には、再生と不死のシンボルの蛇が巻きついています。この「アスクレピオスの杖」と呼ばれるモチーフは、世界保健機関のマークとなっているほか、各国の救急車や医科大学のマークとして今も使われています。
 豊穣をもたらす蛇には、金運上昇の御利益もあるようです。インドの民間信仰では、財宝を守る白蛇が人の夢に現れてその所在を教えるといいます。わが国では弁財天の御使いとして尊ばれ、蛇が脱皮した後の抜け殻を財布に入れるとお金が貯まるなどの言い伝えがあります。