コラム

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「巳」vol.4 恋する蛇の恋愛説話

2012.12.19  干支コラム 

2匹が縄のように絡み合った交尾が数時間も続くといわれる蛇は、古来より旺盛な生殖力で知られます。そのせいかどうか、中国にも日本にも、蛇と人間の恋愛や婚姻にまつわる説話が数多く見られます。
 中国の民間伝説『白蛇伝』は、白蛇の化身の娘が人間の男性と恋に落ちるという恋愛故事です。やがて夫婦となり、幸せに暮らしていましたが、仏僧に蛇の正体を見抜かれ、退治されます。この説話を題材に、1958(昭和33)年に日本初の総天然色アニメ映画『白蛇伝』が制作されました。
 日本では、蛇が男性になって人間の娘と契りを交わす「蛇婿入り伝説」が多く伝えられますが、その反対に人間の女性が蛇になるのが、紀州に伝わる『道成寺伝説』です。
 僧の安珍に恋をした清姫は、叶わぬ恋の炎を燃やし、大蛇となって安珍のあとを追います。そしてついには、道成寺の釣り鐘の中に隠れた安珍を鐘ごと燃やし尽くします。美しい娘が凄まじいまでの恋心ゆえに蛇と化すこの伝説には、人々の心を捉えてやまない魅力があるようです。浄瑠璃や能、歌舞伎にも取り上げられ、今も広く語り継がれています。