コラム

COLUMN

「巳」vol.2 「杯中の蛇影」は病のもと

2012.12.5  干支コラム 

 蛇は極地を除く世界各地に広く分布し、現生種は約2,400種といわれます。地上に棲むもの、地中に棲むもの、水中に棲むもの、樹上に棲むものなど多様で、致命的な毒を持つ危険種は約300種。日本ではマムシ、ハブ、ヤマカガシが毒蛇として知られています。
 足もないのに電光石火の逃げ足で、獲物に素早く毒牙を打ち込み、あるいは伸縮自在にからみついて巻き締め仕留める蛇は、古代の人々にとって脅威の的でした。
 中国・唐の『晋書』には、蛇の影に怯えて病気になる男の話が紹介されています。
 親戚の宴に招かれた男が酒を口にしようとすると、なんと杯の中に蛇が見えます。男は震え上がり、それ以来、病気になってしまいますが、後日、杯の蛇の正体は壁にかかった弓が映ったものだったと知ると、たちまち病が回復したというものです。
 この故事から、疑い出せば、何でもないことでもストレスの種になることを「杯中蛇影(はいちゅうだえい)」と言うようになりました。