コラム

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「巳」vol.1 「海千山千」蛇は龍となる

2012.11.27  干支コラム 

 辰年の龍の次が、巳年の蛇。
 「海に千年、山に千年棲みついた蛇は龍になる」という言い伝えがあります。それを人間の経験にあてはめ、世の中の裏も表も知り尽くした抜け目のない人を「海千山千」と呼びます。
 干支の本場の中国では、龍についての諸説の中に「龍の原型は蛇」とする説があり、現代も俗に蛇を「小龍」と呼びます。かつてNHK中国語講座で活躍されていた鄭高詠(ていこうえい)氏によれば、巳年の中国人に干支を尋ねると、3通りの答えが返って来るそうです。
 「私の干支は蛇です」
 「私の干支は長虫(蛇の異称)です」
 「私の干支は小龍です」
 蛇と言わずに小龍と言いたがるのは、国民的人気の龍に対し、蛇には残酷で狡猾なイメージか付きまとうからだとか。同じように全身を鱗で覆われた十二支獣でありながら、想像上の動物の龍は天空を駆け、権力の象徴とされるのに対し、古くから人の身近にいた蛇は、崇敬と嫌悪が相半ばする複雑な存在でした。
 そして、この二面性こそが、他の動物には見られない陰影に満ちた蛇の魅力とも言えるでしょう。