コラム

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「午」vol.3 馬は神と人をつなぐ

2014.1.17  干支コラム 

洋の東西を問わず、馬は神霊の乗りものであると考えられていました。ギリシャやインドにあっては、太陽神が乗る車を引く聖獣とされ、中国ではインドからの高僧が白馬に経典を乗せて当地に仏教を伝えたといわれます。また、黄河から八卦図を背に現れ出たという、竜馬伝説も残ります。
 わが国では、神事や祈願に神の降臨を求めて生きた馬を奉納するならわしがあり、平安時代の書物『延喜式』によれば、雨乞いの祈願には黒毛の馬を、止雨の祈願には白馬を奉ったとあります。
 とはいえ、生きた馬を奉納するというのは、そうそうできることではありません。そこで、神馬を描いた板絵を納めたのが「絵馬」の起源といわれます。時代とともに絵馬は多様化し、桃山時代には著名な絵師が筆をふるった豪華な大型絵馬が人気となり、それをかけるための絵馬堂がつくられました。その一方で、名もない市井の絵馬師や奉納者自身が描いた小絵馬は、庶民の間で脈々と受け継がれ、現代も祈願や報謝のために奉納する善男善女が絶えることがありません。