コラム

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「未」vol.1 未は「祥」なり

2014.12.16  干支コラム 

中国に伝わる吉祥図に、3頭の羊が陽光を浴びている図柄があります。春節(中国の旧正月)の祝詞によく用いられたという縁起の良い言葉、「三陽開泰(さんようかいたい)」を描いたものです。
 古く中国では、冬至の日を境として陰の気が次第に去り、陽の気がだんだんに生じると考えられていました。旧暦11月の冬至の日に「一陽」が生じ、旧暦12月に「二陽」が生じ、正月に「三陽」が生じて「開泰する(万物が通じる)」というのです。そこから、冬が過ぎ、春が巡り来て、万物が生気に満ち溢れるという意味のおめでたい言葉として使われ、吉祥図にも描かれました。
 羊の図案が用いられたのは、「陽」と「羊」の字音が同じであるのに加え、後漢の許慎(きょしん)が撰した最古の漢字辞典『説文解字』に「羊は祥なり」とあるように、そもそも羊は祥に通じる縁起の良い存在でもあったからでしょう。
 羊は、角を持ってはいても使わないところが、仁を好む人のようである。捕えても鳴かず、殺しても声を上げないのは、義に殉じる人のようである。子羊が母から乳をもらうときに必ずひざまずくのは、まるで礼を知る人のようである。羊が祥とほぼ同義とされるゆえんはここにある。(要約)
 中国・前漢の書物『春秋繁露(しゅんじゅうばんろ)』の中で、羊はこのように説明されています。