コラム

COLUMN

「申」vol.1 動物の首長たる霊長類

2015.12.16  干支コラム 

 猿の語源は、一説には、他の動物よりはるかに知能が勝ることから「まさる」の「ま」が省略されて「さる」になったとされます。また一説には、人の物真似をしてふざけることから「戯(ざ)る」に由来するとされます。いずれも、ヒトと共に霊長類に分類される猿の特性をよく表したものといえるでしょう。
 霊長類の仲間である猿の進化は、ヒトの起源とも密接な関わりを持っています。ヒトや類人猿の遺伝的な研究では、テナガザル→オランウータン→ゴリラの順に分岐し、今から約700万年前、最後にチンパンジーとヒトが分かれたと考えられているそうです。
 日本に生息する猿は、動物学上は霊長目オナガザル科の一種で、その名もニホンザルといいます。南は鹿児島県屋久島から北限は青森県下北半島に至る間に分布し、冬ともなると雪の舞うなか、心地よさげに目を細めて温泉につかる姿がテレビなどでよく紹介されます。
 しかし、世界的に見ると、これはきわめて珍しい光景です。他の猿たちは、中南米、アフリカ、南アジアから東アジアにかけての熱帯、亜熱帯地域に分布するのに対し、ニホンザルはヒト以外で雪が降る地域に棲む最北限の霊長類として、海外ではスノーモンキーと呼ばれ注目されています。