コラム

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「酉」vol.2 独自の発達をとげた日本鶏

2017.3.21  干支コラム 

 野鳥を飼いならして品種改良したものを家禽といいますが、そのなかで最も広く飼育されているのが鶏です。
 鶏の祖先は、東南アジアから南アジア一帯に分布しているセキショクヤケイ等の野鶏と考えられていますが、その起源や家禽化の時期については諸説あり、定かではありません。
 日本には稲作と前後して、今日の地鶏の祖先が渡来したと考えられています。その後、平安時代に遣唐使船によって今日の小国鶏の祖先が中国からもたらさ れ、江戸時代初頭には朱印船により、タイ・ベトナム・中国から大シャモ・チャボ・ウコッケイの祖先がもたらされました。江戸時代にこれらが交配され、品種改良されたのが「日本鶏(にほんけい)」 です。
 諸外国の品種が主に卵・肉を採取するために改良されたのに対して、日本鶏は世界的に極めて珍しいことに、主に観賞用として品種改良されました。日本三大長鳴鶏といわれ、時を告げる声を観賞する高知原産のトウテンコウ、青森原産のコエヨシドリ、新潟原産のトウマル。もとは闘鶏に用いられたシャモやサツマドリ、カワチヤッコ。雄の尾羽が十二メートルにも達する土佐のオナガドリをはじめ、姿を観賞するために作られたミノヒキ、クロカシワ、ヒナイドリなど。日本各地で作られた十五品種の鶏が、国の天然記念物に指定されています。