
足もないのに電光石火の逃げ足で、獲物に素早く毒牙を打ち込み、あるいは伸縮自在にからみついて巻き締め仕留める蛇は、古代の人々にとって脅威の的でした。
中国・唐の『晋書』には、蛇の影に怯えて病気になる男の話が紹介されています。
親戚の宴に招かれた男が酒を口にしようとすると、なんと杯の中に蛇が見えます。男は震え上がり、それ以来、病気になってしまいますが、後日、杯の蛇の正体は壁にかかった弓が映ったものだったと知ると、たちまち病が回復したというものです。
この故事から、疑い出せば、何でもないことでもストレスの種になることを「杯中蛇影(はいちゅうだえい)」と言うようになりました。